Bake

焼きいちごとクリームとクッキー

小粒のいちごが一盛りいくら、と売り出される時期に入ってからが、私の好きないちごシーズン。果物も野菜も、いわゆる走りの時期はあまり買わないことにしている。日本ならではの初物を大切にする心。少し早めに季節を取り入れる美意識。これは、いち早く季節の移り変わりを知らせてくれるお店の方たちに委ねている。家庭でお菓子を作る人 “Home baker” としての季節の取り入れ方は、無理をしないことがモットー。

小粒いちごは、私のテーブルにも合っていると感じている。そのまま食べておいしく、小さめのケーキに添えてちょうど良く、そしてホールの形のまま加熱して楽しむこともできるのだから。

少し多めに買えた日には、洗って拭いてヘタを取って、すぐに食べる分だけ取り分けたら冷凍しておく。それを定期的にオーブン焼きにするのが最近は気に入っている。5月ごろに出回るルバーブをオーブンで焼いてやわらかくするのだけど、それをいちごに応用した作り方だ。

いちごは、2〜3日で食べきれそうな量だけ鍋に入れて、砂糖を適量まぶしてしばらく置いておく。生のいちごでも良い。十分に水気が出たらバニラパウダーも加えて、180度で30分ほどオーブンで焼くだけ。煮詰まらない代わりにアクが出ないし、形も崩れない。そのまま冷ましておくと、果汁に少しとろみがつき、シロップの色がいちごに戻る。食べ頃はしっかり冷えてから。

何度か試してみて、ストウブ鍋に入れて極弱火で加熱すればオーブンの柔らかい熱で焼いたような仕上がりになることがわかった。その時の気分で加熱方法は使い分けて良いと思う。

いちごが山ほど手に入る地域に住んでいたら、迷わず保存用としてジャムを作る。でも、ひとパックずつ買ってくる今の横浜での生活には、このオーブン焼きが合っている。ジャムより気軽で、砂糖の量も気にしなくて良くて、日持ちも冷蔵庫でせいぜい数日。なんというかフルーツのオーブン焼きは、自家製スイーツの喜びを感じられるのです。

さて、オーブン焼きをどうやって食べているかというと。ジャムやソースがわりとしてヨーグルトやパンケーキに添えたり、アイスにかけたり。もちろんおいしい。でもとっておきの食べ方がこれ。冷やしておいたオーブン焼きいちごと泡立てた生クリーム、割ったクッキーを添えただけのデザート。

生クリームは、ケーキの横に少量を添えるだけの場合、ハンディタイプのブレンダーを生クリームの紙パックに直接入れて泡立てる。クイックで便利。だけど生クリームが主役級になるデザートなら、ボウルに移してハンドミキサーでゆっくり時間をかけて泡立てる。抱きこむ空気の量が違うのか、ふんわり具合も口溶けの良さも違う。少量のお砂糖とバニラエクストラクトで甘みと香りをつけた。

お皿に生クリームをぽってりと盛りつけ、その上に焼いたいちごを数粒。果汁もとろりとかける。あとはサクサクしたものが欲しいので、オートミールのダイジェスティブクッキー(レシピ本 p. 12)を砕いてのせた。ストロベリー&クリーム&クッキー。

これを、もう一段二段、複雑にすることもできる。例えば、クリームは生クリーム+マスカルポーネにする。香りをローズウォーターにする。割ったクッキーではなくて、プラリネを用意する。季節になれば食用のバラの花びらを散らすことも、一手間かけてラズベリークーリを添えることもできる。そう、いくらでも足していくことはできる。でも私はきっとこのベーシックに戻る。

軽く火を通した季節のフルーツと、泡立てたクリームと、普段食べているクッキーの残り。こんなにもシンプルで幸せ溢れるデザートがあって良いのだろうかと、しみじみ思うのです。

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